ビタミンDの有効性の臨床結果について。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける効果が有名ですが、まだ解明されていない効能が多い栄養素です。
ビタミンDの必要性
13種類あるビタミンの一つであるビタミンDは、カルシウムの吸収を高め骨粗鬆症を予防するなどの効果を持っている大事な栄養素です。
これまでに、様々な臨床試験を実施し、有効性が証明されています。
臨床試験は、実際に実験を行っての結果なので、とても信頼性が高いデータです。
下記より、ビタミンDの持つ有効性を紹介します。
下記の情報については、(独)国立健康・栄養研究所より引用しています。
循環器・呼吸器
カルシウムと密接に関係している栄養素であることが分かります。
ビタミンDは腎不全患者での人工透析に起因する、あるいは副甲状腺機能低下症または偽(性)副甲状腺機能低下症からくる低カルシウム血症に対し、経口摂取で有効である。
若い男性756名を対象とした6ヶ月の追跡調査において、血清中の25-OH-D濃度が平均の1/2以下(40nmol/L以下)では、呼吸器感染症による欠勤が多かったという報告がある。
糖尿病・内分泌
糖尿病の発症率の低下にも寄与することが判明しています。
女性看護D師83,779名(平均年齢46.0歳)を対象としたコホート研究(追跡期間20年)において、カルシウムの摂取量が多いほど糖尿病の発症率が低く、ビタミンの摂取によって更に低下する傾向があるという報告がある。
2007年6月までを対象に、4種のデータベースで検索できた症例対照研究4報とコホート研究1報をメタ分析したところ、幼児期のビタミンDの投与はI型糖尿病の発症リスクを低下させたという報告がある。
生殖・泌尿器
間接的に、副甲状腺機能低下症の改善を行います。
ビタミンDは腎不全患者での人工透析に起因する、あるいは副甲状腺機能低下症または偽(性)副甲状腺機能低下症からくる低カルシウム血症に対し、経口摂取で有効である。
骨・筋肉
ビタミンDはカルシウムと一緒に、骨粗鬆症の予防や、骨折のリスクを低下させるとても大事なビタミンであることが証明されています。
ビタミンDは、肝疾患、腎疾患、副腎皮質ホルモン誘導性、家族性低リン酸塩血症(但しリン酸のサプリメントと併用で)などに起因する骨軟化症や骨粗しょう症、骨形成異常症に対し経口摂取で有効である。
ビタミンDは、閉経後の女性の骨粗しょう症や骨折のリスクを減少させるのに(カルシウムやフッ素などのサプリメントとの併用で)対して有効性が示唆されている。
1966年1月から2007年1月を対象に、11種のデータベースで検索可能な無作為化比較試験29報について検討したメタ分析において、50歳以上の女性のカルシウムとビタミンDのサプリメント摂取は、骨折リスクと骨密度の低下を減少させたという報告がある。
高齢女性(70-80歳)120名を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、カルシウム 1,200mg/日もしくは、カルシウム 1,200mg/日とビタミンD 1,000IU/日を5年間摂取させたところ、カルシウム単独摂取では影響はみられなかったが、カルシウムとビタミンDを併用すると、骨量減少の抑制、血漿中アルカリホスファターゼ(骨形成マーカー)増加の抑制、尿中PDP/Cr値(骨吸収マーカー)の低下がみられたという報告がある。
αカルシドール(1α (OH)D3)は経口摂取で、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRH-a)による治療に起因する骨粗しょう症のリスクにさらされた前立腺がんの患者に対して、骨密度の維持に有効性が示唆されている。
ビタミンDは新生児のくる病や、吸収不良症候群、ビタミンD依存性または抗痙攣薬により誘導されたくる病に対し、経口摂取で有効である。
ビタミンD2は、極度のビタミンD欠乏症からくる重症の近位筋障害(Proximal myopathy)の治療に対して、有効性が示唆されている。
・ビタミンD3は母乳を与えられている乳児に経口投与で、骨密度を上昇させるのに、有効性が示唆されている。
ビタミンD3は、黒人女性において二次的な副甲状腺機能亢進症と骨のターンオーバーを減少させるのに、有効性が示唆されている。
その他
ビタミンDは、乳児にとっても不足してはならないとても大事なビタミンです。
ビタミンD3は母乳を与えられている乳児に経口投与で、骨密度を上昇させるのに対し有効性が示唆されている。
ビタミンDは尋常性乾癬に対し経口摂取あるいは外用で有効である。
ビタミンDはビタミンD欠乏症の未熟児で低カルシウム血症を起こしている乳児や、その他の低カルシウム血症患者でのテタニー(筋の異常な強収縮)の予防に経口摂取で有効である。
ビタミンD2はファンコニ症候群による低リン酸塩血症に対し経口摂取で有効である。
カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシビタミンD3)は経口摂取で光線性角化症や初期の有棘細胞がんの治療にアイソトレチノインと併用した場合、有効性が示唆されている。